れもんうえうぶ
ピアノ物語

磯江尚樹(isoe) ,LEM音Web

ピアノのフタ〜どのように使うのか?

 

 「ピアノのフタ」と言っても、鍵盤のところのフタではありません。アップライト(竪型)ピアノなら、ピアノの一番上についているフタ。グランド(平型)ピアノなら、ピアノの胴の上についている大きなフタのことです。
 家で練習しているときや、ピアノの先生の家でレッスンを受けているときは、ピアノのフタは普通は閉じています。でも、発表会やコンサートの時はピアノのフタは大きく開いています。なぜ、発表会の時にはフタを開けるのでしょうか。また、ピアノのフタを開けたり閉めたりすることにはどのような意味があるのでしょうか。
 例えば、目覚まし時計を箱に入れて鳴らしたとき、箱のフタを閉めて鳴らすのと、箱のフタを開けて鳴らすのでは、どちらが大きな音になるでしょうか?それは当然、箱のフタを開けているときの方が大きな音で鳴ります。
 これと同じ理由で、ピアノのフタを開けると、閉めているときよりも大きな音になります。それで、コンサート会場などの広いところで、ピアノの音を大きく響かせたいときにピアノのフタを開けるのです。それとは逆に、レストランなどで静かにピアノを聞かせたいところでは、完全にフタを閉めます。家での練習やレッスンの時には、大きな音で響かせる必要がないので、ピアノのフタを閉めているのです。

 グランド・ピアノのフタは2段階の大きさで開けられるようになっています。フタを開けるときに、ピアノの中にあるつっかえ棒をフタの裏側にある穴に合わせてフタを立てかけるようになっています。そして、つっかえ棒には長いのと短いのがあります。ピアノの音を大きく響かせたいとき、たとえば、発表会でピアノの演奏をするときには、長いつっかえ棒を使って大きく開けます。あまり大きく響かせたくないとき、たとえば、歌の伴奏をするときなどは、小さいつっかえ棒を使って小さく開けます。また、たとえ演奏会場が広くてもピアノにマイクを取り付けている場合は、ピアノのフタが閉められていることもあります。

 アップライト・ピアノのフタは普通はただ開けるだけになっていますが、ピアノの機種によっては短いつっかえ棒がついていて、少しだけ開けられるようになっているものもあります。フタを開けるかどうかの考え方は、グランド・ピアノの時と同じです。ただし、時と場合によってはピアノの上のフタを開けるだけでなく、手前のフタや足下のフタも開けることがあります。

 いつどのようにフタを開けるかは、演奏会場の広さや音の響き方を考えて決めます。今後ピアノが使われる演奏会を見る機会があれば、ピアノのフタの開け方も注意深く見ると面白いですよ。

                        

目次 | はじめに | ピアノの先祖1:チェンバロ | ピアノの先祖2:ダルシマー | ピアノの誕生 | ピアノの仲間たち | ペダル―表現力を広げるスイッチ | ピアノのフタ〜どのように使うのか? | ピアノが日本に入ってきたのはいつ?どのように? | ピアノとキーボードの鍵盤の違い | どんなピアノを選ぶべきか | ピアノの手入れについて

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