れもんうえうぶ
ピアノ物語

磯江尚樹(isoe) ,LEM音Web

ピ ア ノ の 誕 生

 

  さて、前のページまではピアノの先祖についてお話ししました。ピアノの形はチェンバロ、音の出し方はダルシマーが先祖であると言うことでした。そうした形と音の出し方を結びつけ、鍵盤と連動させた仕組み“アクション”を考案したのはイタリア・フィレンツェのメディチ家に仕えていた、一人の楽器修理係でした。

 彼の名前はバルトロメオ・クリストフォリ(1655〜1731)です。クリストフォリはチェンバロ制作の技術を生かして、1709年にチェンバロのボディを基にしてその中に、ハンマー、クッション、ダンパー、ジャック、ジャック・スプリングなど、現在のピアノの原型となる様々な仕組みを考案し、備え付けました。そして、完成したその楽器に「クラビチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」と名付けました。日本語で言うと「弱い音と強い音を持つ鍵盤楽器」という意味です。現在はただ単にピアノと呼ばれていますが、これは「ピアノ・エ・フォルテ」(またはピアノフォルテ)を省略した呼び方なのです。この楽器は音量が豊かで余韻(よいん)が長く、強弱をつけやすいと言う特徴があります。

クリストフォリのピアノの写真 クリストフォリは1720年頃に、さらに改良を加えたモデルも発表しています。それをもとにして、ドイツ人のジルバーマンという人が1726年にクリストフォリ型のピアノを作りJ・S・バッハに紹介したという興味深い史実もあります。ただし、あまり好評ではなかったようです。

 結局、ピアノはその後ドイツやフランスで研究されるようになり、改良が続けられ、19世紀には作曲家にとってなくてはならない楽器となりました。現在では様々な音楽に用いられ、「楽器の王様」と呼ばれています。その王様を自由自在に扱えるにように、ピアノを習っているみなさんは練習しているのですよ。

 それでは、次のページでははピアノの種類についてお話ししたいと思います。

                        

目次 | はじめに | ピアノの先祖1:チェンバロ | ピアノの先祖2:ダルシマー | ピアノの誕生 | ピアノの仲間たち | ペダル―表現力を広げるスイッチ | ピアノのフタ〜どのように使うのか? | ピアノが日本に入ってきたのはいつ?どのように? | ピアノとキーボードの鍵盤の違い | どんなピアノを選ぶべきか | ピアノの手入れについて

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