ピアノとキーボードの鍵盤の違い
鍵盤のついた楽器はたくさんあります。見た感じではどれも同じように見えるかも知れません。でも見えない部分では明らかにその仕組みは違いますし、弾いたときの感じもまったく違うのです。
キーボードの鍵盤
私達の身近にある鍵盤楽器で代表的なのはキーボードでしょう。キーボードの鍵盤は簡単に言うと電気のスイッチボタンと同じです。みなさんの家にあるストーブや電子レンジなど、電化製品のスイッチを押すと「ピッ」と音が鳴らないでしょうか。それと同じで、それぞれの鍵盤が特定の音を出すスイッチになっているのです。
最近のキーボードでは鍵盤を押すときの速さや押してからの圧力を感じて、強弱や音の変化を付けられるものもあります。いずれにせよ、鍵盤の動きそのものが音に直接結びついています。
ピアノの鍵盤
ピアノの鍵盤の特徴は、キーボードと違って、鍵盤そのものの動きが直接音に結びついているのではなく、鍵盤は音を出すためのハンマーを操作するレバー(てこの原理)となっています。キーボードはどんなにゆっくり鍵盤を押しても必ず音が出ます。でも、ピアノはものすごくゆっくり鍵盤を押すと、音が出ません。なぜなら、ハンマーが動かないからです。
ピアノの鍵盤のずっと先にはハンマーが乗っています。鍵盤を押したときの勢いで、このハンマーが弦をたたいて音を出す仕組みになっているのです。このハンマーが動かなければ音は出ません。ですから、ピアニストは鍵盤そのものと言うより、鍵盤の先のハンマーを操って音を出しているのです。
電子ピアノの鍵盤
電子ピアノはどちらかというとキーボードに近いです。でも、ピアノを弾いた時の感じに近づけるように色々と工夫されています。最近では、本物のピアノと同じようにハンマーがついていて、そのハンマーの動きをセンサーで感知して音を出す仕組みの電子ピアノもあります。こうしたピアノは本物のピアノに確かに弾いた時の感じは近いですが、やっぱり音の出方が本物とは微妙に違います。
このように、キーボードとピアノでは鍵盤を操作する距離感がまったく違うのです。キーボードは目に見えている鍵盤を操って音を出します。ピアノは目に見えない部分のハンマーを鍵盤で操って音を出します。このハンマーを操る感覚があるかないかが大きな違いです。(機械的な構造に関しては非常に難しい話になるので、説明を省きます。)
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