ピアノの仲間たち
一口にピアノといっても、実は色々な種類があります。また、これまでの歴史の中で色々な呼ばれ方をされて来ました。現在でも国によってはピアノのことを違う名前で呼んでいる所もあります。
最初ピアノが作られたときは「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」と名付けられました。これは日本語に直すと「弱い音と強い音が出せる鍵盤楽器(またはチェンバロ)」という意味になります。でも、クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテではあまりにも長くて言いにくいので、やがて「クラヴィチェンバロ・コル」の部分が省略されるようになりました。現在一般的に「ピアノ」と呼ばれているのは、「ピアノ・エ・フォルテ(またはピアノフォルテ)」をさらに省略した呼び方です。ただし、かつては「フォルテピアノ」と呼ばれていたこともあったようで、その当時に作られたピアノ(複製品も含める)が演奏会で使われるときは「フォルテピアノ」と紹介されています。ロシアでは今でもフォルテピアノを正式名称としているそうです。また、ドイツでは「ハンマー・クラヴィーア」又は単に「クラヴィーア」と呼ばれています。これは「ハンマーで音を出す鍵盤楽器」という意味があるようです。そして、グランド・ピアノのことを、その形が鳥の翼(フリューゲル)に似ていることから「ハンマー・フリューゲル(又は単にフリューゲル)」と呼んでいるようです。中国では「鋼琴」と呼ばれ、日本では「洋琴(西洋の琴)」と呼ばれていたこともありました。
◎グランド・ピアノ(平型)
前ページでもご紹介したとおり、クリストフォリによって作られた最初のピアノの形がこのグランド・ピアノでした。グランド・ピアノの大きさは様々で、長さが1.5mぐらいのものをベビー・グランドと呼び、1.8mぐらいまでのものが練習用としてよく使われています。そして、2.5m前後のものをセミ・コンサート型と呼び、ちょっとしたホールなどで用いられています。そして、最大のものは3mほどにもなり、これはフル・コンサート型と呼ばれ、大きなホールなどで用いられています。ピアノが大きくなればなるほど音量も大きくなるので、使用する目的や部屋の大きさなどで使うピアノが選ばれます。
◎アップライト・ピアノ(竪型)
アップライト・ピアノが出現したのは19世紀前半です。グランド・ピアノが非常に場所をとるのに対して、アップライト・ピアノはそれほど場所をとらないので、グランド・ピアノよりも広く親しまれています。現在のように四角い長方形の形になる前には、天辺が三角にとがったピラミッド・ピアノや、動物のキリンに似たような形をしたジラフ・ピアノなどもありました。また、四角いテーブルのような形をしたスクエア・ピアノというものもありました。アップライト・ピアノは、現在では家庭用や練習用として用いられていますが、その中でも高さが1m前後に小型化され、家具的な装飾を施されたものを特にスピネット・ピアノと呼んでいます。
◎その他のピアノ
・アートピアノ:胴体や脚に象牙や真珠をちりばめて装飾を施したピアノ。
・ペダルピアノ:足でも音を出せるような工夫がされたピアノ。
・二段鍵盤ピアノ:鍵盤が2段式になっているピアノ。
(写真提供:極楽トンボ 様)
・半音階ピアノ:264個のタイプライター式鍵盤がついたピアノ。たとえば、普通のピアノなら♯ドと♭レは同じ鍵盤だが、半音階ピアノでは弾く鍵盤が異なっている。
・透明ピアノ:胴体がガラスでできていて、中の構造や動きが見えるようになっているピアノ。最近ではポケット・ビスケッツのライブでテルさんが「青の住人」を弾き語りするときに使っていた。
・電気ピアノ:エレキギターと同じで弦の響きをピックアップマイクで拾って、アンプとスピーカーで音を増幅させて鳴らす仕組みのピアノ。
・電子ピアノ:弦をハンマーでたたいて音を出すのではなく、鍵盤の動きをセンサーが探知して、電気的に合成(または録音)された音をそれに合わせて出す仕組みのピアノ。最近では本物のグランドピアノやアップライトピアノの鍵盤と同じ仕組みの物もある。
・サイレントピアノ:グランドピアノやアップライトピアノと電子ピアノの仕組みを組み合わせ、スイッチを入れるとハンマーが弦をたたかずに、ヘッドフォンから電子のピアノ音がでる仕組みのピアノ。別売の装置と組み合わせ、バンドやオーケストラのカラオケ伴奏とアンサンブルができる物もある。
以上がピアノの仲間たちです。次ページではピアノのペダルについてお話しします。
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