腕や手首のよけいな力を抜く |
4.腕や手首のよけいな力を抜くプロのピアニストは一日平均7〜8時間の練習をするそうです。でもそれは驚くに値しません。なぜなら、コンサートで60分〜90分の演奏をすると考えた場合、練習の時にすべての曲を一回ずつ弾いただけで終わるはずがないからです。練習の内容はともかく、どうしてそんなに長時間ピアノを弾き続けられるのでしょうか。それは腕や手首のよけいな力が抜けているからです。 腕や手首に力を込めて練習をしていると、だんだん筋肉が疲れてきて最後にはピアノを弾けなくなってしまいます。そうしたことを繰り返していると筋肉痛になったり、ひどい場合は腱鞘炎(けんしょうえん)を起こして指が動かなくなる場合もあります。それを避けるためにもよけいな力を抜くことが大切です。また、ピアノは一度鍵盤を押してしまうと、その後にいくら力を入れても音が大きくなることはありません。力が必要なのは鍵盤を押すその瞬間だけなのです。ですから、必要なときに必要な力だけを使って、後は力を抜いておくのがもっとも効率のよいやり方になります。プロのピアニストはまさに力を入れたり抜いたりする達人といえます。腕をリラックスさせながら、必要なときだけ力を使っているのです。だから、長時間の演奏にも耐えることができます。 では、どのような練習をすれば腕や手首のよけいな力を抜くことができるでしょうか。それは、常に脱力することを意識することです。そして、手首を柔らかくしなやかに動かせるように心がけましょう。決して、力で鍵盤を押さえようとしてはいけません。腕の重さを使って鍵盤を押すことがポイントです。とは言っても、口で言うほど簡単にはできません。「よけいな力を抜く」ことはすべてのピアニストにとって一番難しい課題なのです。誰にでも効く特効薬のような練習の仕方はありません。自分で色々工夫しながら練習を積み重ねていくしかないのです。そして、本当によけいな力が抜けるようになったとき、あなたはきっとあまりの弾きやすさに驚くことでしょう。 |
目次 | 楽譜を正しく読む | 指番号を守る | 正しい姿勢と手の形 | 腕や手首のよけいな力を抜く | 曲想を考える | 定期的・計画的な練習 | エチュードを日課とする | メトロノームとなかよしになる | 必要不可欠な部分練習 | 気持ちを込めた通し練習 | お母さんは名コーチ | 素直な心と自分でやろうとする気持ち | 聴く耳を育てる | ホーム・コンサートのススメ | 絶対にあきらめない | 発表会で成功する練習の仕方